上海 (横光利一)
『上海』(しゃんはい)は、横光利一の初の長編小説。 欧米列強によって実質統治されていた租界都市・上海で起った五・三〇事件(1925年)を背景に、国際資本主義経済の市場争奪戦や、搾取・収奪に抵抗する労働者の暴動の波と共産党の参画、猥雑な風俗や奢侈品であふれる国際金融街の歓楽の裏側に充満する飢えや貧困、阿片中毒、常態化した殺人や謀略、泥溝の露路にさまよう売春婦や乞食の群れなどの混沌が渦巻く「掃溜」のような租界の地に生きる人間群像を物的に描きながら、植民地、民族、革命などの時代状況と人間の問題に挑んだ横光の野心作である。